パラジウムは歯科金属として、また歯科以外でどのように利用されているか
2018.05.23
歯科金属としては「金パラ」の「パラ」でおなじみのパラジウム。金パラはご存知の方でも、パラジウムが他にどのように利用されているかについては知らない方も多いはずです。以下では、パラジウムとその用途についてご紹介します。
パラジウムの金属としての特性とは
パラジウムは金やプラチナと同じ貴金属で、元素記号はPd。プラチナと同じ白金族元素の一つです。
融点が1,554度と低く加工のしやすさから、他金属との合金も用意なことから自動車用触媒や装飾品合金、歯科用合金など幅広く利用されています。
一般的には、歯科医で使用される銀歯の素材として金銀パラジウム合金が知られていますが、実はジュエリーの素材としても人気があります。
供給はほぼロシアに依存している状態で、需要の半分以上を北米と日本で占めています。
しかし、ここ最近ではロシアで産出量が激減しているため、大変入手が困難で、歯科医院などでもパラジウムを含む銀歯が使用しづらくなったり、工業製品の生産に支障をきたしています。
パラジウムは歯科金属としてどのように利用されているか?
主に銀歯用の合金とし用いられ、詰め物やかぶせ物として使われます。
「パラ」「金パラ」「キンパラ」「銀パラ」「12%金パラ」「歯科用パラジウム」「金パラジウム」とも呼ばれたりもしますが、正式には「歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金」と呼ばれます。成分としては、金12%、パラジウム20%、銀50%前後、銅20%前後とその他が数%が含まれています。
メーカーによって多少の成分バランス・液相点・硬度など異なりますが、金とパラジウムの含有率に関しては、どちらのメーカーでも同一規格となります。代表的な製品で『GC キャストウェル M.C.金12%』・『ヤマモト パラゼット12-n』・『イシフク キンパラベスト12』等があります。
一般的なメーカーでは、20%以上のパラジウムを混ぜる事により価格を非常に安く抑えられ、そして強度に優れており、どれだけ噛んでも割れたり磨耗したりする心配が少ないことが特徴です。
しかし欧米では金銀パラジウム合金は硬いことから、歯を痛めるなどの理由で金が使用されています。日本では安価であり、広く使用されています。最近ではセラミックを使う歯科医もいます。
ちなみに、パラジウムは金属アレルギーの原因のひとつとされています。金属アレルギーは汗や体液に溶けてイオン化した金属が人体の中のたんぱく質と結合し、アレルギー物質となって異常な免疫反応が起きることで発症します。ドイツなどの医療先進国では、パラジウムが体に与える悪影響を考慮して、パラジウムフリー(パラジウムを含まない)の金属を強く推奨しています。
パラジウムは歯科金属以外でどのように利用されているか?
パラジウムは、歯科金属以外でも幅広く利用されています。自動車触媒、ジュエリー用、エレクトロニクス用の3つの用途についてご説明いたします。
自動車触媒
まず、パラジウムの最大の特徴として触媒(しょくばい)です。
触媒とは簡単に説明すると、Aという物質とBという物質を混ぜる際に反応速度を速める物質で、自身は反応前・後も変化しません。
よってガソリン車に、『自動車触媒』という自動車から排出される排気ガスを浄化するための装置が、マフラーやエンジンに付いています。
ガソリン自動車のエンジンからは窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、ガソリンの未燃焼成分である炭化水素(HC)が生成されますが、これらを無害な二酸化炭素、水、窒素、酸素などに変換する役割をもっているのが自動車触媒で、触媒には白金・ロジウム・パラジウムなどの貴金属が多量に含まれています。
ジュエリー用の貴金属
ジュエリー用の貴金属として、パラジウムは宝飾品にかなりの割合で含まれています。
プラチナ製品のほとんどがプラチナとパラジウムの合金で、
– Pt900は、プラチナ90%に対してパラジウムが10%
– Pt850は、プラチナ85%に対してパラジウムが15%
含まれ、パラジウムをプラチナに混ぜると、適度な硬さに調節でき、色の調節も行える為、宝飾品には好んで使われます。
次にホワイトゴールド(WG)です。プラチナと同様に、
K18WGやK14WGが主流で、これは金とパラジウムの合金です。
– K18WGは、金75%に対してパラジウムが25%
– K14WGは、金58%に対してパラジウムが42%
含まれ、金にパラジウムを混ぜるとプラチナのような白い金属になります。
ホワイトゴールドは高価なプラチナの代替品として、宝飾品で人気があります。
エレクトロニクス用
エレクトロニクス用としてコンデンサー(電気を蓄えたり放出したりする電子部品です。直流を通さないで絶縁するはたらきもあり、電子回路では必ず使うと言って良いほど、電子機器に欠かせない部品)において利用されますが、ここ最近はニッケルへの移行の動きもあります。
まとめ
このように、パラジウムは希少金属(レアメタル)と様々な使い道があります。
特に金銀パラジウム合金はメーカーが販売している製品はもちろん、歯科スクラップ(撤去冠・除去冠)や歯科技工の際に発生する貴金属(研磨粉・削り粉・鋳造合金・キャスト屑)等が高価な金額で取引されており、最近では自動車触媒を買取りする業者も増えています。あまり聞き馴染みが無いパラジウムですが、色々と生活の中で使われています。
パラジウム、金パラ製品、または金パラ以外の歯科金属製品についても、JPメタルにて買取可能ですのでお気軽にご連絡ください。
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